2026 年 5月11日現地時間12時5分、ネパー ル・ヒマラヤ、マナスル山域の未踏峰ジャルキャ ヒマール(6,473m)に登山隊3名全員で初登頂しま した。また、これに先立ち、同じくネパール・中 国国境に位置する未踏峰であるギャラ(6,363m)に も初登頂しました。 ご支援、応援いただいた皆様に感謝申し上げます。
ジャルキャヒマール登山隊2026 隊長 竹中雅幸
1.概要
隊の名称:ジャルキャヒマール登山隊2026 Jarkya Himal Expedition 2026
隊 員: 竹中 雅幸 36歳 (担当:隊⾧、会計、医療)
杉本 龍郎 37歳 (担当:装備、通信)
野村 良太 31歳 (担当:食料、保険、記録)
期 間:2026年3月28日~5月23日(57日間)
登頂日時: Gyala 6,363m 2026/4/27 8:35 Jarkya Himal (Jarkya Peak) 6,473m 2026/5/11 12:05
助 成:日本山岳会海外登山助成 (令和7年度後期)
2.登山報告
ジャルキャ本峰(左)および東峰(右) 2.登山報告 今回目指したジャルキャヒマール6,473m は、 ネパール政府が2014年に解禁した104座のうち のひとつである。日本人が初登頂した8,000m 峰 として知られるマナスルの北方、ネパール・中国 国境の稜線上に位置する。
この山への挑戦は今回で竹中が3回目、杉本・ 野村が2回目となる。初回は2020年早春に日本 山岳会関西支部のメンバー他2名とともに竹中が 氷河ルートを探索し5,400mまで。
2023年春のト ライは主として杉本・野村によって尾根ルートが 開拓され約 6,300m まで。
また氷河ルートを 5,550m まで登高した。なお、2020年以前の登山 記録や、他国による記録は見当たらない。
ジャルキャヒマール本峰へ至るルートはいくつ かの選択肢が考えられるが、本峰から流れ出るヒ ンドゥー氷河は非常に複雑なクレバス帯が⾧く続 くため、今回は尾根ルートを第一候補とした。
尾根ルートは登攀的なセクションは少ないもの の⾧大で、尾根を詰めてジャルキャヒマール東峰 とギャラのコルから流れ出る氷河に乗った後、国 境稜線を西進し東峰を越えてようやく本峰に至る。
本峰とほぼ同じ標高の東峰を越えて6,000m ラ インを縦走するルートのため、高所順応、天候、 ラッセル力が問われる。
そのため登山本番の前に カトマンズから比較的近いゴサインクンドを訪れ、 5,000m 峰に登る高所順応を行った(竹中・野村の み)。 キャラバンルートはマナスルを望むトレッキン グルートであるマナスルサーキットと呼ばれるコ ースをたどり、西側または東側からのアプローチ が可能であるが、やはり高所順応のため西側から 5,106m のラルキャ・ラ(峠)を越えるアプローチを 選択した。
国境稜線近くの広大な氷河は比較的傾斜が緩く、 降雪後はラッセルとなる。
今回は軽量な小型スノ ーシューともいうべきスノープラックという新た なアイテムを導入し、狙い通り有効であった。
ベースキャンプ入り後、4 月下旬までは好天が 続き、6,000mにC2を設営しギャラに登頂すると ともに、国境稜線の偵察や高所順応を済ませるこ とができ順調な滑り出しであった。
しかしその後 悪天期間に入り、連日の雪が続きベースキャンプ での停滞は10日間に及んだ。 4 週間用意していた登山期間も後がなくラスト チャンスとなったが、5/11のみが終日の晴れとい う予報に賭けることとした。
3.ジャルキャヒマール登頂
5/9
4時にBC 4,550mを出発し、ABC 4,800m、 C1 の跡地5,600m を飛ばしてC2 6,000m入り。
C2 付近では風雪のホワイトアウトとなったが、北 海道で活動し悪天慣れしている野村のナビゲーシ ョン力が発揮され、無事にC2を発見できた。
C2 到着は16:35で、12時間半行動となった。
5/10
前日の疲れもあり明るくなった7時前に 出発。アイゼンにスノープラックを装着してプラ トーをひたすらラッセルし、国境稜線に乗る。
東 峰手前の小ピークは雪庇が張りだしており、3 ピ ッチほどロープを出して杉本リードでトラバース。 2023 年はこのトラバースが氷化しており、また時 間を考慮して撤退となったが、今回はある程度雪 が乗っており、スノーバーを支点にしつつ無事通 過できた。
だんだんとガスにつつまれる中、東峰 とのコルから少し登った6,350mに14:45到着。
ここにC3を設営する。ABC、C1、C2については 4 人用のテントを持ち上げていたが、C3はアライ テント様よりご提供いただいた自立式シェルター のライズ2を使用した。
本体とフレームあわせて 1kg を切る軽量さ、コンパクトさには非常に助け られた。
テント設営後、一時風雪となる。 5/11、いよいよ勝負の日。天気は晴れ。
黙々と 準備を整えていくが、ここでトラブル発生。杉本 が使用していた高所靴のプラスチックパーツが外 れ、アウターのチャックが閉められず、靴が履け ない事態に陥る。
やむなくテーピングテープでぐ るぐる巻きにして6:15出発。
歩きはじめて間もな く、先頭の竹中がヒドゥンクレバスを踏み抜き落 ちる。幸いすぐに止まり、這って脱出した。
東峰と呼んでいた国境稜線上の 6,451m ピーク に7:40到着。これまで要所要所でしか見えなかっ たジャルキャ本峰の姿をようやく間近に望むこと ができた。
東峰の下りはやや硬い雪面もあったものの、ロ ープを使用することなくコル(地図上では 6,315m)に降り立つことができた。
さらに小ピークを越え、いよいよジャルキャ本 峰への登りにとりかかる。稜線沿いの直登は急傾 斜のため、いったん南側に巻きながら斜上し、尾 根に乗ったところで再び国境稜線に向けて進む。
だんだんと傾斜が落ち、雪をかぶったチベット の山々が見えたところが山頂だった。山頂は意外 と広く、チベット側に張り出した雪庇の手前で立 ち止まり集合する。
12:05、全員登頂。
マナスルを正面に望む山頂で一通り記念撮影し 2 チベットの山々をバックに、山頂にて集合写真 た後、12:50 に下山開始。
往路のトレースを戻る が、東峰の登り返しはさすがに足が重かった。
16:45 に東峰に帰着。ここまでずっと天候がよか ったが、さすがにガスが上がってくるようになっ た。
本峰の姿を目に焼き付けた後、踵を返して眼 下のC3目指して下る。17:20にC3に帰着。
11時 間行動のサミットプッシュとなった。
5/12
すべての動作がゆっくり。C3を撤収し、 6:40 下山開始。
ロープを出して小ピークをトラバ ースし、氷河のプラトーに降り立つ。日が昇ると 照り返しで猛烈に暑い。
10:45 にはテントを張り っぱなしにしていた C2 に帰着するも、ガスが出 てきて氷河のルートファインディングに時間を要 すると思われること、疲れが溜まっていること、 食料はもともとあと1日分用意してあることから C2 泊を決める。
たった4時間の行動とは思えない ほどの疲労感があり昼寝を決め込む。
午後は断続 的にガス、風雪となり、あらためて昨日の好天が 奇跡的なものと感じた。
5/13
標高6,000m以上での滞在もこれで5日 目となる。スローな動きでC2を撤収し下山開始。
やはり朝は天気がよく、前日無理に動かなくてよ かった。C1跡地で多少のデポを回収し、ABCに向 けて沢状地形を一気に下る。
ABCではBCのスタ ッフたちが迎えに来てくれていた。
12:25、BCに 全員無事帰着し3年越しの登頂が完結した。
補足:東峰についてはネパール政府の許可峰 には含まれていないが、本峰の登山許可を取 得しており、登山ルート上の避けようがない 地形であることから通過に関して問題ない 旨、現地エージェントに確認済み。地図上で は標高のみ記載されており、名称については あくまで隊の中での仮称である。